成年後見制度の類型の一つ「保佐」について

こんにちは。

許認可申請と福祉の専門家、平松智実法務事務所の平松智実です。

 

成年後見制度は任意後見と法定後見に分かれ、法定後見はさらに三つの類型に分かれます。今日は法定後見の類型の一つである「保佐」について説明します。

 

「保佐」は「事理を弁識する能力が著しく不十分なもの(民法11条)」とされています。事理を弁識する能力というのは、行為と結果を理解する能力のことです。例えば「お金を無駄遣いしたら生活ができなくなるという理解(=事理を弁識する能力)」が「ほとんどない(=著しく不十分)」なものを保佐の類型の対象としています。

 

普段の活動はある程度できるが、自分でお金の管理をすることが難しかったり自分の持っている財産を不適切に処分してしまう可能性があったりするようなケースに保佐の類型は合っていると言えます。具体的にはグループホームを利用している知的障害のある方、一人暮らしをしている知的障害のある方などが挙げられます。

 

保佐の申し立てをして保佐人が選任されると民法13条に列挙されている重要な行為について被保佐人は保佐人の同意が必要です。保佐人の同意がない場合は取り消すことができます。民法13条に列挙されている重要な行為は以下の通りです。

・元本を領収し、又は利用すること

・借財又は保証をすること

・不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること

・訴訟行為をすること

・贈与、和解又は仲裁合意をすること

・相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること

・贈与の申し込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること

・新築、改築、増築又は大修繕をすること

・第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること

 

判断能力に欠ける、知的障害のある方が不利益を被ることがないよう、このような規定となっています。ただ逆に言えばここに挙げられている行為以外は被保佐人が単独でできるということです。後見の類型とは単独でできることの範囲が大きく異なります。

 

保護を厚くするということは本人のできることを制限するということでもあるので、成年後見制度の理念である自己決定の尊重を重視し、ご本人に適切な類型を選択することが重要です。

 

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