知的障害のある方の成年後見制度利用のメリットとデメリット

こんにちは。

許認可申請と福祉の専門家平松智実法務事務所の平松智実です。

成年後見制度を利用する際にはそのメリットとデメリットをよく知っておく必要があるのではないでしょうか。

 

一口に成年後見制度といっても高齢で認知症の方が利用する場合とで気を付けなければならないポイントは異なります。

障害者支援施設で約10年間勤務した経験から、知的障害のある方の成年後見利用時のメリットとデメリットについてお話します。

 

知的障害のある方が成年後見制度を利用する一番のメリットはご本人が亡くなるまで見守ってくれる人がいるということです。たとえ後見人が亡くなったとしてもご本人が生きている限り、裁判所が別の後見人を選任してくれます。信頼できる人にご本人のことを頼んでいたとしても成年後見制度を利用していなければその人が亡くなってしまえばご本人を見てくれる人がいなくなってしまいます。

次に、財産についてです。ご本人の預金は成年後見人が管理することになるので、他の親族がご本人の預金を利用するなど不正な利用をされることがなくなります。高齢者の認知症の方が成年後見制度を利用するときは、財産を成年後見人が管理するということがメリットでもありデメリットでもあります。例えば、ご本人と家族が住んでいる家の改修をしようと思ってもご本人の預金を自由に使うことができません。また、ご本人のお孫さんが結婚したから多めにお祝いを包むなども制限されることがあります。この点、知的障害のある方の場合は上記の二つの例のようなことが問題になることはあまりないと思います。

 

 

知的障害のある方が成年後見制度を利用するデメリットは、費用がかかることです。およそ月額2万円ほどの報酬を後見人に支払う必要があります。さらに金銭的な面で言えば、ご本人の親族が亡くなり多額の財産を相続しその財産を後見人が使い込む、横領するというリスクがあること挙げられます。このようなことがないように信頼できる後見人を選ぶというのは当然重要なことですが“信託”という選択によりいリスクを少なくすることもできます。親御さんが亡くなり生命保険をご本人が受け取るということになったとき、一括で保険金をご本人の口座に入金するのではなく一旦保険金を信託銀行に預け、信託銀行から月々必要な額をご本人の口座に振り込むという方法です。

 

高齢の方が成年後見制度を利用する場合と比べて知的障害のある方が成年後見制度を利用する場合の方がデメリットは少ないと考えています。親御さんや親族が亡くなった後にご本人が困らないために成年後見制度の利用という選択肢は、信頼できる後見人候補者がいるということが前提ですがとても良いと思います。

 

成年後見について、どんなことでもご相談ください。ご連絡お待ちしています。